太平山 野田口ルート

太平山 野田口ルート

たいへいざん のだぐち

秋田市大平山山谷野田

 

最終更新:2024/1/27

登山ルート

登山ビギナーには過酷な経路でした

真澄…何があなたをそこまで駆り立てる…


🖌菅江真澄の道
  • 来訪:文化9年(1812)7月
  • 年齢:59歳
  • 書名:月のおろちね
  • 形式:日記、図絵
  • 詠歌:誰かそてもぬさの追風ふきはらひ 身もきよまはり山や越やなん

真澄記:7月19日

 13日に友人の那珂通博からの誘いで太平山登山を決行する。

メンバーは那珂通博、鎌田正家、淀川盛品、樋口忠一など7〜8人。

見出し

 13日に友人の那珂通博からの誘いで太平山登山を決行する。

メンバーは那珂通博、鎌田正家、淀川盛品、樋口忠一など7〜8人。

月のおろちね


◆登山ルート

◆登山口 山谷

 朝早くメンバーが揃い目長崎を出立した。

黒沢集落で勝手明神にお参りし、山谷村の東光庵という寺で休憩を取った。庵の前に『ほうたき棒』という死んだ子供を弔った塚があった。

月のおろちね

◆登山道 表参道鳥居

●真澄図絵

 中平(なかたい)というところに鳥居がある。

『ざく沢』という山の中に大きな桂の木があり、枝にモギの木の枝を大量に打ちかけてある。

『鍵懸(カンカケ)』といって、山の神に祈念する習俗である。

月のおろちね

◆太平川に沿って進む

●真澄図絵

  女楯平というところを過ぎて、幾つもの沢を川を渡ると、仙人権現という神が祀られていた。

[日記の記録は前後するが]

 山谷から女人堂までの参道は新城黒川村の鉄玄法師が地元の青年・新兵衛に指示して木を伐り、岩を割って山道を作らせた。

月のおろちね

◆ウシバミ沢と不動の滝

●真澄図絵

 高い岩から南に向けて不動の滝というのが落ちていた。

「ああ、おもしろい眺めだ」

とみなふり仰いだり、見下ろしたりしていた。地元の昔話が伝わる沢が多く、その中の艮(うしとら、北東)に牛喰沢(ウシバミ沢)があった。

月のおろちね

◆女人堂

 このあたりの路は険しく、危なげに辿って女人堂というところに来た。

女人堂を作ったのは鉄玄法師で、女人禁制のこの山では女性たちはこの堂で引き返した。

今は荒れ果てて2尺3寸の小さな堂ばかりが並んでいる。

月のおろちね

◆剣ヶ峰(剣岳、標高1047m)

●真澄図絵

 雨が強く降ってきた。『剣ヶ峰大明神』という神が祀られている。

四方は深い雲霧に閉ざされ、峰々は頂ばかりがわずかに見えていた。

月のおろちね

◆剣岳山頂 ルート合流地点

 左に分かれる山道があり、みぎに『すけばいみち』という炭𥧄の通路がある。

優婆御前という神の御名になぞらえていう石があった。この南を『親渓平(むさわたい)』という。

月のおろちね

◆宝蔵ヶ岳

 岩がそびえたち、路が遠く続いて高かった。すっかり閉ざされた雲の中を強力の案内を頼りに手足をついて人にすがって登って歩く道はなかなか遠い。

那珂通博が詩を朗吟している。

月のおろちね

◆鎖場

 弟子帰りの前後に3尋(約5.4m)ばかりの鎖が下がっており、鎖の音が鈴の音のように谷にもの寂しく響いていた。

路の左右から2本の木の枝が刺し覆っている。これを神の鳥居木』と呼んでいる。

『たっちら(ダケカンバ)』という木を使っているというが、この地方の方言だろうか。

月のおろちね

◆弟子還り

●真澄図絵

 いつのころか、この山に師がこもって修行していたのを弟子が訪ねてきたが、この坂が険しくて登ること出来ずに帰っていった、という故事から名付けられた峰。

月のおろちね

◆大峰(山頂)

 かろうじて大峰に辿り着いた。堂があるのでを捧げた。

隣に籠舎(こもりや)があったが別当の僧が断食の斎(ものいみ)を行なっていたので止むを得ずこの堂に入った。

持参した水や食物を食べて手を洗い火を灯し、拝んだ。

月のおろちね


◆大平山データ

  • 山域:出羽山地
  • 標高:1,170m
  • 祭祀:大平山三吉神社
  • 宿泊:可
  • 開山:7月17日
  • 別名:薬師の峰、金峰山、三本ヶ岳、大蛇岳、おろちね、おいだらetc

というわけで山頂まで所要時間約5時間。
山慣れしてる人ならばもっと早いでしょうが…。
旭又ルートと合流した後も山道は非常に狭く、滑落の危険も大いにあります。

こんな感じで道中は決して初心者向けではありません。
チャレンジしたい方は登山届を提出の上、充分な装備と同伴者の付随を強くオススメします!

晴れていれば景色も素晴らしかったでしょうけどね…。
でも今回は大きな事故もなく無事に登頂できました。

では次回、太平山山頂




関連リンク


◆参考文献

・菅江真澄遊覧記第5巻

/菅江真澄 内田武志・宮本常一翻訳

国立国会図書館デジタルコレクション

秋田叢書 別集4

大平山三吉神社HP

・各種説明板

・取材協力・冨澤克次


取材日:2018/8/11