
かみごうのさえのかみとこしょうがつぎょうじ
にかほ市象潟町横岡
最終更新:2025/04/20

横岡地区は鳥海山の西麓を流れる奈曽川が台地に流れ込む部分にできた扇状地に形成された村落で、海抜220m2余りの高地に位置する。
小正月行事はサエの神行事とも呼び、地元の子供たちによって行われる。
火災・疾病などの災害を焼き払い、健康と豊作を祈願する行事。
4集落それぞれに『サエの神』という男根を象った道祖神を祀っており、
行事当日はその場所を周回・巡行する。




- 形態:男根
- 個体数:各4集落に複数
- 祭事:1月11〜15日


横岡地区は、鳥海山の西麓を流れる奈曽川が台地に流れ込む部分にできた扇状地に形成された村落で海抜220m余りの高地に位置する。
【横岡の歴史】 ・西暦76年:景行天皇の頃、“山べのこよし〟という人がこの地方を治めるために来て住んだのがこの村の始まりとされる
・1390年頃:横岡古家の一人、村上藤右ェ門の祖先、村上友春が大和吉野より途中同行者を伴い、中島の『安苫』を経てこの地に移り住む
・1603年(慶長8年):最上家の領地となる
・1622年(元和8年):横岡の一部を除き庄内領となる
・1640年(寛永17年):横岡の一部は生駒壱岐守の領地、外は徳川氏直領
・1804年(文化元年):6月4日、象潟大地震。潟底3m50cm隆起
・1867年(慶応3年):横岡は矢島、生駒領となる
・1869年(明治2年):矢島領に属す
・1871年(明治4年):矢島藩を廃し矢島県とする。11月秋田県に属す
・1875年(明治8年):横岡小学校創立
・1880年(明治13年):横岡小学校校舎新築
・1890年(明治23年):横岡部落の半分以上を焼く大火
・1955年(昭和30年):象潟村・上浜村・上郷村が合併し『象潟町』となる
・1963年(昭和38年):鳥海山国定公園となる
・1966年(昭和41年):町立上郷小学校横岡分校廃止
・1988年(昭和63年):『サエの神行事』町の無形民族文化財に指定
・1990年(平成2年):『サエの神行事』県の民族文化財に指定
・1998年(平成10年):『サエの神行事』町の重要無形民族文化財に指定
【横岡の伝統と文化】 ・サエの神行事:火災・疾病などの災害を焼き払い、健康と豊作を祈願する行事。 ・1月11日:4箇所にサエの神の小屋を建て12-14日子供衆小屋に籠る。
・1月15日:小屋焼き、鳥追い(一番鳥・二番鳥・三番鳥)
・鳥海山日立舞:矢島に生駒家が移封された時代に領主を慕い同行した楽師によって地元に伝わり、それが横岡に伝わったとされる。 日立舞は19番の演目が八面の能面にーより入れ替わり舞われる。 ・7月1日:神下ろし
・8月13-15日:13日・15日の2日間お盆の行事として舞が行われる。
・9月1日:神送り
上郷集落の端に立つ男根を象った道祖神。石、木製の像が数多く集中している。
集落内に4ヶ所あり、小正月行事に新たな道祖神が奉納される。
小正月行事では像の前に鳥小屋が建てられ最終日にドント焼が行われる。
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あああ
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アコーディオン

あああ
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集落の外れの田の真ん中に本尊の石神が祀られている。
本尊は別にある(斎藤氏が氏神)。

- 祭日:1月11〜15日
- 形態:ドント焼き、鳥追い歌
- 巡行:上郷4集落、大森
- 人員:集落内の児童
- 奉納社:サエの神
また、大森地区では初嫁を棒でつつく『嫁つつき』も同時に行われる。
- 11日:4箇所に藁でサエの神の小屋を建てる。
- 12〜14日:子供衆が小屋に籠る。
- 15日:小屋焼き、鳥追い(一番鳥・二番鳥・三番鳥)

11日にサエの神の前に建てられた藁の鳥小屋を15日の午前8時に火をつける。
なるたけ最後まで火がくすぶっているのが良しとされ、前日に雪を詰めたり、土を盛ったり工夫したという。
その火種で餅を焼く。
鳥小屋は昔は子供は入るスペースがあった。中にサエの神を入れる。
入口に藁の幣を飾る。男の子の数だけ藁を束ね、ドント焼の時に共に燃やす。
昔は当主が火をつけてからそれぞれのドント焼きを始めた。

あああ
- 一番鳥:午後、どんと焼きの跡の周囲を3周する。
- 二番鳥:日が暮れてから巡行する。各家にてお菓子をもらう。もちもらい。
- 三番鳥:翌日早朝に行う。
あああ
子供たちが鳥追いの時に歌う唄。
毎年、行事前に公民館に集められて練習を行う。
鳥追いの唄は小正月行事を過ぎるとと禁忌となる。
サエの神のマーラーは、一尺八寸長ったー
きーぎゃーきりきりきんのんだ、
中ーべんごす山形、
山形のがーぎゃーだ、
ハーネーの木をきったぎて、
テーデーマーラーやぎゃーして、
一文銭であめかって、 二文銭でマラかって、
くーつけ、くーつけ、くーつけーだーば、
そごのあばよろこんだ。 ブホー ブホー
アーマーハーゲのボンボラボン
てんきゃとの、にき にき
もちくれー もちくれー
初嫁ではれ 初嫁ではれ
つつくはいまだ つつくはいまだ
朝鳥ホイホイ、夜鳥ホイホイ
これはどごの鳥追いだー、長者殿の鳥追だ一
一にぎ鳥は、 四十がらにぐす、
頭はって、塩つけて、塩俵さぶちこんで
佐渡島さ、ぼてやーれ ほてやーれ
佐渡島つけたならば、おに(おにゃ)島き、
ぼてやーれ ぼてやーれ
各家庭にて、ヤナギ、ユズリ葉、『蘇民将来』と書かれたタラの木札で組み立てられた門柳立てを家の前に立てる。
簡易的にユズリ葉のみを飾る家がほとんど。 農家は農耕具など米に関するものに餅を供える。
あああ
駐車場 | 案内板 | トイレ |
× | 〇 |
〇 (上郷集会所) |
◆参考文献
- 聞き書き・佐藤輝一様
- 秋田の祭り・行事/秋田県教育委員会編
- 秋田風俗問状答/金森正也/無明舎出版
- 各種説明板
取材日:2019/09/13、2020/01/15
2025/01/14
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